東海道 その7/大阪 西天満「とんかつ 真」2019年10月31日~信州ポークの厚切りジューシーとんかつ
「ここが中之島か・・・」橋の向こうに中洲が広がっている。川面を渡る風が心地よい。
前川清の懐かしい歌声が蘇ってきた。「なかのし〜まブル〜スよ〜♫」その前のフレーズを思い出そうとして頭に浮かぶ歌詞を追って行き、そしてまたサビに辿り着く。「あ〜あ〜誰にも〜ふるさとがある〜♫」・・・あれ?これ別の歌だ(五木ひろし「故郷」)。
結局サビ以外覚えて無かった・・・
今日のお目当ては「とんかつ 真」小さいが行列ができる店として知られている。信州ポークを使った「特厚切り上ロースカツ定食」に高い評価が集まっている。
最寄り駅は京阪中之島線 のなにわ橋駅だが、北浜駅で降り、中之島を渡って歩いた。
橋を二つ渡り、数分歩くと揚げ油の匂いが漂ってきた。ここだ。
戸を開けると店内が見えた。 カウンターのみの小さな店で席は全て埋まっている。
ちょっとお待ち下さいとのことで一旦外に出る。するとその短い間に一人の男性が店の前に立っていた。40代会社員風の、いかにも「とんかつ好き」という感じの風貌だ。
5分と待たずに二人とも入れた。カウンター9席のみなので、すぐに満席になるが、どんどん回転していくのだろう。調理をしているのは30代後半か40初めに見える男性。そして60代だろうか?高齢に見える女性が厨房にいる。親子だろうか?その二人で切り盛りしている。
素材には気を配っているようだ。肉はやはり信州ポークだ。信州SPF豚と書いている個人ブログもあったが、信州SPF豚は信州ポークの中の1銘柄である。上の説明にはそこまでは書いてないのでSPF豚ではないのだろう。
注文は特厚切り上ロースかつ定食(200g)1,800円に決める。当然時間はかかる筈なのでじっくり待とう。ふと前を見るとペナントが貼ってある。今時珍しい、というかペナント自体見る事が無くなって久しい。高校ラグビーの全国大会である花園の出場記念のようだ。
凄いな・・・花園出場のラグビー選手・・・大食いだろうな。それでとんかつが大好き。とんかつ好きが昂じてとんかつ店を開いたんだろうか。想像が膨らむ・・・あとで聞いてみよう。
待っている間に気づいたが、とんかつを揚げる油の音が聞こえない。カウンター越しに揚げ場があるので、目と鼻の先だ。音が聞こえても良さそうだが・・・低音でじっくり揚げているという事だろうか。そんなことを考えているとようやくやって来た。
コンパクトに見えるが、厚みがある。衣も良さそうな感じだ。キャベツもふわっと盛り付けられており、丁寧な仕事ぶりのようだ。
恒例の断面チェック。うーん完璧な火入れ具合。早速塩で一口食べてみる。塩は赤みがかった塩だ。
旨い。柔らかいがしっかりとした肉質、脂身が少し多めで、その分ジューシーだ。肉の味わいは黒豚に比べるとやや淡白だ。衣が油を吸っており、先程の素材の紹介に書いてあるほどサクッとはしていない。ちょっと揚げ油の味を強く感じたが、じきに感じなくなった。
次はおろしポン酢醤油。これも旨いが、これはポン酢の酸味がやや強く、あまり肉の味を引き立てるには役立っていない気がする。醤油のおろしの方がもっと旨いのではないか。ソースはやや甘みがあるが塩味も効いており、とんかつにはよく合う。
調子よく食べ進んだ。そして最後の一切れ、一番大きい一切れ。脂ののり具合もよさそうだ。最後は塩でシメよう。パクりと頬張り、噛み締める・・・が・・・?
噛みきれない!スジに当たってしまった。歯をずらして噛み切ろうとするが、固い・・・私は未だに虫歯が一本もないのが自慢だが、それでも噛みきれない。こんなことは初めてだった。
パクり、もぐもぐ・・・とした状態のまま、とんかつを口から離すことが出来ない・・・カウンター席であり、右隣は先程のとんかつ好きそうな会社員、左隣は若い女性だった。隣を意識し、恥ずかしさがこみ上げてきた。早く噛み切ろうと、噛みながら箸でとんかつを引っ張る・・・それでも噛みきれない・・・
更に強く噛んで箸で引っ張る・・・次の瞬間、口の中にあったとんかつの一部がスジで引っ張られてポロリと口の外に出てしまった。恥ずかしさの余り顔が熱くなる・・・何という無様な・・・急いで口に収め、別の位置で噛むと今度は噛み切れた。
隣を意識しながら何事も無かったように食べ終えたが、最後の一切れは食べた気がしなかった。このとんかつ道中でこんなスジに当たったことは無い。もちろんこの店も丁寧にスジ切りをしているのだろう。滅多にない見落とされたスジにたまたま当たってしまったのだろうと思う。しかし、恥ずかしい思いをした分気分が悪い・・・
まあでもいつまでも拘っても仕方がない。気分を変えようと、会計の時に主人に花園のペナントのことを聞いてみた。「花園に行かれたんですか?」「え?ああ、行ってないです。全然関係ない」
???じゃあこのペナントは何?
主人もペナントのことを言われたと分かっている筈だが、それ以上特に説明もせず、「1,800円です。」
まあいいか・・・「レシート下さい。」と言うと、主人が一瞬イヤな顔をしたように見えた。そして「金額がわかれば良いですか?」と言う返事。宛先の入った領収書でなくて良いか?という意味だと思った私は了承した。「それで良いです。」
すると主人はレジから出てきたレシートの下の方をハサミで切り取って差し出した。
え?・・・どうゆう事?
確かにこれで値段はわかるが・・・何故切り取る?
もう店の前には何人も待っている人がいるので、釈然としないまま店を出た。あとで考えると内税8%の文字が見えるので10月1日からの消費税10%にレジが対応しておらず、レシートを出したくなかったのかもしれないと思った。
スジといい、レシートといい最後になってなんとも後味がすっきりしない感じがしたが、全体としては旨かったと思う。ごちそうさまでした。
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