唐津街道 その1/博多 「とんかつ薩摩 ヨドバシ博多店」2019年10月24日〜衣と肉のマリアージュ、とんかつの真髄

2020年11月20日

博多と言えば何と言ってもラーメンだ。前回来た時も、その前もラーメンだった。百歩譲って水炊き、もつ鍋・・・明太子料理なんてのもある。しかし二百歩譲ってもとんかつは出てこない。遠方から博多に来てわざわざとんかつ食べようなんて・・・そんな奴おらへんやろ〜・・・

そんなことを考えながら私はこの店の前に立っている。

博多駅近接とはいえ、ヨドバシカメラの4階。ここへ入るのは地元の人か、旅行者なら、ヨドバシカメラで買い物をしているうちにお腹が空いて店の前を通りかかった人だけだろう。

このとんかつ店をわざわざ探してやって来る・・・側から見れば相当に変わった奴だ。

昨日の広島、「とんかつ専門 とんき」が素晴らしかっただけに、博多でも期待を込めて店を探したが、博多駅の近辺でヒットするのは、ランチがお得、コスパ最高、ボリューム満点ロースカツ!みたいな店が多く、本格的なとんかつ店がなかなか見つからない・・・

迷った末に駅近の黒豚を出すお店にした。

薩摩黒豚を自信を持って提供しているようだ。サービスランチも充実している。

お店に入ろうとすると別の看板に目が止まった。

牛カツフェア開催中?・・・牛カツ?・・・大丈夫か?

ここのところ「大丈夫か?」と書く頻度が多い気がするが、私は牛カツという食べ物を全く認めていない。

その昔、キッ⚫️ンジローで「昔懐かしいビーフカツ」というのを食べた時に思った。豚肉に比べて味の濃い牛肉は、そのまま焼いて食べた方が遥かに旨い。肉に対して衣が何の助けにもなっていない、バラバラの味だった。少し前に牛カツがブームになった時にも食べてみた。今度は赤み肉のカツだったが不味くはないという程度のものだった。

牛カツを出すという時点で、まともなとんかつ店でないような気がしてきた・・・しかし、毎度のことだが、新しく店を探す時間が無い・・・

覚悟を決めて店に入った。

薩摩黒豚ロースカツセット 1680円。これだ。しかしまた厚切りでいいのか?・・・いや、今の私は厚切りという言葉に盲目的に惹かれている訳ではない。写真のとんかつの厚みとカットしてある幅を見た上できめているのだ・・・と自分を納得させて注文した。(「とんかつ む蔵〜厚切りの意味を考える」参照)

すると注文を取りに来たお姉さんから提案があった。ランチの薩摩黒豚ロースかつランチが1,580円だという。疑り深い私は質問した。「ランチの内容は黒豚ロースカツセットと全く同じでは無いですよね?とんかつのグラム数が違うとか・・・」「いえ、全く同じセットがランチの時は100円引きなので、お得だと思います。」

それならお得だ・・・ランチは値段は安いが内容も落としているのが普通なのに・・・いい店だ。納得してランチを注文した。

時刻は13時10分。昼休みは終わっているからかお客さんは私のほかに一人しかいない。待つこと暫し・・・来た

薩摩黒豚ロースカツセット ランチ時価格1,580円

おお、厚切り具合としては写真どおり、カットしてある幅と厚みがほぼ同じぐらいである。私の想定としてはこれぐらいがバランスがとれているのではないかと思っているのだが・・・

断面の色はピンク色ではなく火は通っている。しかしこの断面の照り・・・肉汁を湛えて光っている・・・見るからに旨そうだ。ソースは3種類あり、塩も用意されている。ご飯、味噌汁、キャベツ、漬物はビュッフェスタイルでお替り自由とのことである。

いつものように、まずは塩だ。とんかつ専用という塩をつけて一口齧り付く。

シャクッと音が立った。今まで味わったことの無い食感・・・衣の香ばしさと揚げ油の香りと共に、柔らかくジューシーで豊かな肉の旨味が口一杯に広がる・・・旨い!何だこれ、衣がサックサクじゃないか・・・

今まで食べたどの店よりも衣がサクッとしており、旨い。改めてとんかつを見ると衣が立っている・・・

更に一切れ、そしてもう一切れ、塩をつけ、齧り付き、また塩をつけて食べ進める。サクッとした衣とみっしりと柔らかい肉の食感の波状攻撃・・・何という快感・・・

昨日の「とんかつ専門 とんき」は思い切った厚切りと絶妙の火入れで黒豚の旨味を遺憾なく引き出していた。この「とんかつ 薩摩」は衣と黒豚の見事なマリアージュだ・・・

とにかく衣が旨いが、それに負けないのが黒豚の力。黒豚の豊かな旨味との相乗効果で肉、衣、それぞれの味を一段と高めている。豚肉に衣をつけて揚げる・・・その意味がここにある。とんかつの真髄だ・・・

ソースも付けてみよう。博多かつソースというのを付けてみると、ケチャップとソースを混ぜたような感じのソースでこれもまた旨い・・・

肉のグラム数はわからないが、そこそこボリュームはあった筈。しかし最後の一切れまで幸福に浸りながら食べ終えた。勘定を終えて歩き出すと、サクッとした食感が蘇ってきた。もうちょっと食べたい・・・食べ終わってこんな気持ちになるのは初めてのことだ。

とんかつとは、やはり衣+肉だ・・・当たり前のことを改めて認識させてくれたとんかつ薩摩。博多へ来た時はきっとここへ来よう。広島、博多と実り多い旅だった。

ごちそうさまでした

👇よろしければクリックお願いします。

にほんブログ村 グルメブログ 日本全国食べ歩きへ