東海道 その8/東京 芝公園「のもと家」2019年11月28日〜まるでエアーズロック!六白黒豚の超厚切りとんかつ
荒れた会議だった・・・双方の意見が大きく離れているのにその距離を縮める事はできず、次回の会議を約束したのが唯一の成果だった。深い脱力感が押し寄せる・・・癒しが必要だった。「黒豚の旨いとんかつが食べたい・・・」ググって出てきたのが芝公園の「のもと家」だ。
鹿児島産の六白黒豚。店主の拘り等紹介記事を見ているとどうしても行きたくなって来た。行列ができる人気店とある。これから並ぶ気力はないが、夜はそんなに混んで無いんじゃないか?とりあえず行ってみよう・・・会議疲れは何処へやら、テンションは上がる一方である。
大門駅から徒歩3分程で地図の場所についたが、店が分からない。探しながら歩いていると目の前に看板が現れた。
見上げると更に看板、当ビル2階とある。雑居ビルの2階だ。階段を上がると入り口である。
食材がなくなり次第早仕舞いしますとある。時刻は18時半を回ったところだ。まだやっていて良かった。待っている人もおらず。店に入るとカウンターに通された。
店内は少し照明が暗めで、カウンター部分の床は一段高くなっている。元スナックか何かだったのを改装したのような雰囲気である。カウンター5席、テーブル16席の客席は8割方埋まっている。
カウンターに座ると、目の前に調理するご主人の姿。いかにもとんかつ屋の主人に相応しい立ち姿である。年齢は30代後半か40代ぐらいだろうか。
そして女性が一人。妹だろうか?などと私はいつも勝手にお店の人の人間関係を想像してしまうが、違っていたらごめんなさい。
さて、メニューである。ロースカツ定食が120g、160gの2種類。そして厚切りロースかつ定食240gは赤身と脂身のバランスが最も良い芯の部分で一日限定八食と書いてある。
そう来ればここは厚切りロースかつ定食の一択だろう。聞いてみると、まだあるとの事でこれに決めた。因みに私は限定何食というメニューがあると大抵それを頼むが、一度も品切れと言われたことが無い。数に限りがあるのは確かだろうが、何食という数字はかなり少なめに言っているのだろうと思っている。
鹿児島黒豚は六白黒豚と言って四本の足先と鼻先、尻尾の先が白くなっている。単純な黒豚とは違うとある。そもそも黒豚という表示も20年ほど前までは乱立していたが、その後純粋なパークシャーのみが黒豚と表示できるようになった。鹿児島黒豚は更に厳格な品質基準を設けており、単純な黒豚と一線を画しているとのことだ。
とんかつ用の醤油を用意し、茎わさびで食べるというのは新しい。いかにも旨そうだ。色々なこだわりを読んでいると更に期待が膨らむ。カウンター越しに油の揚げる音が聞こえるが、揚げ時間を知らせるタイマーの音は聞こえない。この主人も広島の「とんかつ専門 とんき」の主人のように経験で揚げ時間を見切っているということだろう。
「ロースかつ定食160g です。」隣の会社員風の人のオーダーが運ばれてきた。見ると幅と厚みのバランスが160Gはいい感じである。今度来たときは160gを頼んでみようかな・・・そんなことを考えていると待ちに待ったとんかつが運ばれてきた。
一目見て丁寧な仕事ぶりがわかる。ふんわりと柔らかく盛り付けられたキャベツ、カットされたとんかつの幅は測ったように揃っている。ポテトサラダが添えられているのは珍しい。それにしても・・・
このボリューム感、厚み!何というド迫力!これまでのとんかつ道中のボリュームキングは、ブログアイコンにもなっている厚さ3.5cmの「特選ロース 超厚切り(300g)」(大阪 心斎橋「とんかつ 大喜」)だった。
この「のもと家」の、「厚ぎりロースかつ240g」は、見つけ面積はやや小ぶりだが、金網から垂直に立ち上がっている様は、さながら大地からそびえるエアーズロックのようだ・・・
そしてその巨大な塊を包む粗目の生地の衣がなんともいい色に揚がっている・・・
ここで恒例の断面チェック。一切れ横にしようとすると、幅より厚みの方が大きいので両隣に引っかかる。左隣の二切れを少しずらして横向きにできた。
こんなとんかつがあっただろうか・・・厚さ4cmはありそうな長方形の断面、そしてこの幅と厚みはとんかつというより羊羹だ。その断面は肉汁を湛えてきらきらと輝き、見事なまでに、ほんのりピンク色に仕上がっている。
この分厚さの肉をこれだけ綺麗に火入れするのはかなり難しいのではないだろうか?期待が膨らむ、心がはやる・・・定石通りまずは塩だ。
衣はかなりサクッとしているが、なんといっても衣の比率が低い。とんかつの幅は決して薄くないが、厚みは幅の倍近いので衣のサクッと感より肉のレア感がすごい。肉の切断面の舌触りは刺身のような滑らかさだ。
それでいて決して生臭い訳ではなく、ジューシーで黒豚特有の脂身の豊かな甘み・・・とにかく旨い。とんかつというより別の豚肉料理の感じだが・・・
次はお待ちかねの醤油だ。茎わさびをなめてみると、さほど辛くないのでちょっと多めに乗せ、鹿児島醤油につけ、頬張る・・・
甘〜い!醤油が甘い。想像していた味と全く違う。名古屋にも濃いめの甘口醤油があるが、この醤油は今まで味わったどの醤油よりも甘い。茎わさびもこれだけ乗せてもあまり効いていない・・・
しつこいようだが、「肉には塩」である。(東海道 その1/東京 東京駅「鹿児島 黒かつ亭」参照)この甘さでは肉の甘味が全く引き立たない。醤油で食べるのは止めて塩に切り替える。
そういえば海外にいた時、日本食を出す店で度々すき焼きを食べたが、仕事仲間に九州出身者が複数おり、毎回すき焼きを仕切っていた。まず最初に油を敷いたすき焼き鍋に砂糖を入れて肉を焼き始めるという手順で、彼らはこれが旨いんだと言っていた。
九州を一括りにするのも失礼かもしれないが、九州のある地域では肉を甘い味付けで食べる伝統があるのだろうか?
一番端っこの脂の多い部分はソース、あとは塩で頂いた。ソースも少し甘口ではあったが、醤油ほどではなく、美味しく頂いた。
気が付くとポテトサラダが手つかずで残っていた。一口食べると、重い・・・この240gの後でポテトサラダはちょっと重い・・・が完食。充実した一皿で力が漲ってきた。「のもと家」さん有難う!また来よう。
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